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現場で使える知識

高齢者に多い頻尿。その原因と対処法について知ろう!

高齢者に多い頻尿。その原因と対処法について知ろう!

高齢になるにつれて、人はトイレに行く回数が増えます。これは加齢により膀胱に蓄積できる尿の容量が減るためで、ごく自然なことです。

一般的な定義としては、「昼間8回以上・夜間2回以上」で頻尿となります。その背景には病気が隠れている場合もあるのです。

「歳をとったらトイレが近くなるのは当たり前だ」という認識が一般的にあるので「頻尿=病気かもしれない」とは考えづらいかもしれませんね。

では在宅の現場で、利用者さんから頻尿の訴えがあった場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。今回は、頻尿の種類・症状など説明していきます。

 

高齢者に多い頻尿のタイプ

過活動性膀胱

過活動性膀胱は、「尿意の切迫感」や「頻尿」を伴い、たまに「切迫性尿失禁症」を伴う病気のことです。高齢者の頻尿の原因で一番多いのがこのタイプです。400万人以上が過活動性膀胱だといわれています。

  1. 尿意の切迫感:我慢できないような尿意を感じる
  2. 頻尿:昼間8回以上・夜間2回以上トイレにいく
  3. 切迫性尿失禁:急に尿意をもよおし、我慢できずに尿を漏らしてしまう

頻尿は日中の活動低下や、夜間の睡眠障害の原因となります。QOL(生活の質)の低下につながりますので、対策が必要です。

ケアスタッフさんやご家族は「高齢だから」という解釈をせず、頻尿により利用者さんの生活が損なわれることを理解してあげてください。

過活動性膀胱の主な原因は、加齢による自律神経機能の低下や膀胱括約筋の低下などです。対策としては、骨盤底筋運動といった仰臥位から腰を上げる運動が効果的です。

運動が難しい利用者さんに対しては、余分な膀胱の収縮を抑えてくれるようなお薬があります。医師に相談してみましょう。

前立腺肥大

男性は加齢によって前立腺肥大になります。その割合は、70歳で80%、80歳で90%です。多くの高齢男性にとって、前立腺肥大は身近な病気なのです。

前立腺肥大でも多くの場合、頻尿が出現します。これは前立腺が尿道を囲むような位置にあるため、前立腺肥大により膀胱を刺激してしまうためです。

また一回の排尿量も少なくなり、残尿をしてしまうと、腎臓への負担や雑菌の繁殖を起こしてしまう可能性もあります。

利用者さんが高齢男性で、夜間頻尿や残尿感を訴える場合は、前立腺肥大の進行の可能性もあります。利用者さんからの訴えに耳を傾けましょう。

 

生活習慣が原因によるもの

水分の過剰摂取

動脈硬化と診断されていたり、脳梗塞予防のために水分を過剰に摂取したりする高齢者の方がいますが、過剰な水分摂取は危険な行為です。体の水分量が増えるということはそれだけ心臓に負担をかけるということにもなります。

喉の渇きがあり、多量に飲まないと落ち着かないという方は、尿崩症の可能性があります。尿崩症とは、抗利尿ホルモンというホルモンが欠乏し、非常に薄い尿が過剰に作られてしまう病気です。冷水を欲しがる場合は尿崩症を疑うようにしてください。

まずは一日の尿量を測定するようにしてください。3000ml以上の場合には、多尿だといえます。医師に相談するようにしましょう。

就寝前の飲酒

飲酒をすると、尿を抑えるホルモンの働きが悪くなるため、必要以上に尿が作られてしまいます。排尿回数が増え、更に喉が乾くため水分摂取をする。この繰り返しが頻尿につながります。

生活習慣による頻尿はその人のライフスタイルを変更しなければいけないので理解が得られにくいかもしれません。やみくもに「水分を控えてください」「お酒はだめです」と注意しても聞く耳をもってもらえないかもしれません。

納得を得るためには、なぜ頻尿になるのかということを理解し、説明してあげることが必要になるでしょう。

 

病気による頻尿

尿道炎や膀胱炎

尿道炎は男性に多く、膀胱炎は女性に多い病気です。これは尿道の長さが男女で違うためです。

これらの病気にかかると膀胱が過敏になり頻尿になるだけでなく、排尿時の痛みを伴います。悪化すると膿尿や血尿が出たりします。利用者さんから排尿痛の訴えがある場合には医師に相談するようにしてください。

間質性膀胱炎

こちらは未だ解明されていないことも多い病気ですが、感染性の膀胱炎と似た症状を示します。共通点は以下の3点です。

  1. 頻尿になる
  2. 残尿感
  3. 排尿痛や違和感がある

しかし間質性膀胱炎は一般的な感染性の膀胱炎と違って、尿検査で異常を示さず抗生剤で治癒することはありません。そして感染性の膀胱炎と違い「尿が溜まると下腹部に痛みが出現し排尿後は和らぐ」という特徴があります。

これらは似た症状のため、間違われて抗生物質が出されることがあります。また、精神的な原因による膀胱炎と間違われることも多いようです。

ご家族は利用者さんが受診される際には、膀胱炎と間質性膀胱炎の違いを理解しておくことで、利用者さんの正しい治療に繋がるでしょう。またケアスタッフも違いを理解しご家族を支えてあげてください。

膀胱癌

一番恐ろしい病気でこちらも頻尿の原因になります。
膀胱癌の症状としては、目ではっきりと確認できるほどの血尿です。血尿が出た場合は早期の受診をするようにしましょう。

利用者さんの状態により受診できない場合でも在宅で尿細胞の検査や超音波検査ができますので、在宅医に相談してみましょう。

 

まとめ

一言で頻尿になったといっても、その原因は生活習慣や病気など様々です。対処法もそれぞれ異なります。QOLを損なう程の頻尿があらわれた場合には、まずは医師に相談してみてください。

 

この記事を書いた人

木の香往診クリニック

木の香往診クリニック 編集部

在宅医療に関わる介護職や医療職の方へ役立つ情報をお届けします。名古屋市にある木の香往診クリニックが運営しています。

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